No.393 乳がん看護におけるナースのケアとは
乳がんは女性に多く見られる疾患であり、早期発見や適切な治療によって予後を改善できる可能性があります。しかし、乳がん患者は診断時から治療中、さらには術後まで、身体的および精神的なストレスを抱えることが多く、看護師の役割は非常に重要です。乳がん看護においては、患者の身体的ケアに加えて、心理的なサポートや生活の質の向上を目指した包括的なケアが求められます。この記事では、乳がん看護におけるナースのケアについて詳しく解説します。
乳がん患者の診断直後のサポート
乳がんと診断された患者は、強いショックや不安を抱えることが多く、ナースは最初の段階から丁寧に寄り添うことが求められます。診断直後のサポートでは、まず患者が自分の病状を正しく理解できるように、わかりやすく説明を行うことが大切です。
また、患者の感情に寄り添いながら、不安や恐怖心を受け止める姿勢を示します。医師からの説明後には、患者が理解できなかった点や不安に思っていることを確認し、必要に応じて追加の説明を行います。さらに、セカンドオピニオンの希望や治療法の選択に関する相談にも応じることで、患者が納得できる治療を受けられるようサポートします。
治療中の身体的ケアと副作用管理
乳がん治療では、手術、化学療法、放射線療法、ホルモン療法など、さまざまな方法が用いられます。これらの治療に伴う副作用の管理は、ナースにとって重要な役割です。
化学療法では、吐き気や脱毛、倦怠感といった副作用が生じるため、抗吐き気薬の使用や適切な休息の指導を行います。放射線療法では、皮膚の炎症や赤みが出やすいため、スキンケアの指導や保湿剤の使用を勧めます。また、ホルモン療法では更年期症状に似た副作用が見られるため、症状に応じた緩和策を提案します。
さらに、患者が栄養不足にならないよう食事管理をサポートし、体調が悪化した際には迅速に医師に報告して適切な対応をとることが求められます。
術後ケアと生活支援の具体例
乳がんの手術後は、身体機能の回復とともに生活の質(QOL)の維持・向上を目指したケアが重要になります。
術後のケアでは、リンパ浮腫の予防や早期発見に努める必要があります。リンパ浮腫を防ぐためには、適切なマッサージや運動療法を指導し、早期の段階で異常が見られた場合には迅速に対応します。また、肩や腕の動きを改善するためのリハビリを指導し、日常生活に戻りやすいようサポートします。
生活面では、仕事や家事への復帰についてのアドバイスや、介護保険や障害者手帳の利用といった制度面の支援も必要です。
乳がん患者と家族への教育と情報提供
乳がんの治療とケアは患者本人だけでなく、その家族も関わることが多いため、家族への情報提供や教育もナースの役割の一つです。
患者や家族が治療内容や予後について理解しやすいように説明を行い、疑問点に丁寧に答えることで不安を軽減します。また、家庭でのケア方法や緊急時の対応についても指導し、安心して療養生活を送れるようサポートします。