No.217 ナースなら知っておきたい感染症法に基づく消毒・滅菌とは
昨今の感染症では、新型コロナウイルスが猛威を振るっており医療関係者のみならず人類に脅威を与えていることは記憶に留めておくべきでしょう。その感染症に対し感染症対策が重要になってきますが、その中でも消毒・滅菌は特に注視されるポイントで、これらについては今一度確認が必要です。
消毒の種類
消毒には消毒薬などを用いる化学的消毒法と湿熱や紫外線を用いる物理的消毒法があります。それらを詳しく見ていきましょう。
- 〇化学的消毒法
- 【気体】ホルムアルデヒド、オゾン
【液体】各種消毒薬
- 〇物理的消毒法
- 【煮沸法】水を沸騰させた中に耐熱性のある器材を入れて15分以上煮沸させる
【流通蒸気法】100度の加熱水蒸気の中に30〜60分放置する
【間歇法】80〜100度の熱水か水蒸気の中に1日1回30〜60分の加熱を3〜6回繰り返す
【紫外線法】紫外線装置を使用
【熱水消毒】医療機器やリネン類は80度以上、10分間の消毒
熱による消毒法は、浸透力が強く確実な効果が得られること、残留毒性がないことなどの利点があります。そのため、耐熱性・耐水性がある器材の消毒には、熱水消毒第一選択とします。
消毒薬による消毒法は、使用濃度・使用湿度・作用時間により規定されます。
感染症の病原体で汚染された器材・環境の消毒・滅菌
感染症の病原体が付着していると考えられる器材や環境の消毒・滅菌は、適切かつ迅速に行って汚染拡散を防止しなければなりません。こちらでは、それらの消毒又は処理法を解説します。
- 〇手袋、帽子、ガウン、ドレープ、器材、被覆材など
- 【消毒法又は処理法】可能な限り使い捨て製品を使用する。
【最終処理】使用後、専用の感染性廃棄物容器に密閉するか、可塑性の袋を二重にして、きちんと封をした上で焼却処理する。
- 〇汚染した再使用器具
- 【消毒法又は処理法】ウォッシャーディスインフェクター、フラッシュイングディスインフェクター、あるいは消毒剤を用いて浸漬処理(付着した汚染物は洗浄除去しにくい)した上で用手洗浄を行う
【最終処理】滅菌などの必要な処理をおこない再使用する。
- 〇汚染した食器、リネン類
- 【消毒法又は処理法】熱水洗浄消毒又は消毒剤浸漬後、洗浄する。
- 〇汚染した患者環境(病室等)、大型機器表面など
- 【消毒法又は処理法】血液等の大きな汚染物は、これを一旦清拭除去する。(消毒剤による清拭でもよい)
その後、消毒剤で清拭消毒をする(清拭消毒前に汚染微生物量を可能な限り減少させることで清拭消毒の効果を高めることになる)
消毒剤処理は滅菌処理と異なることから、対象とする微生物の範囲に限りがあります。そのようなことから殺菌できない微生物が存在し、条件が揃えば消毒剤溶液中でも生存増殖する微生物もあります。従って、対象微生物を考慮した適切な消毒剤の選択が必要となります。
- ■まとめ
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消毒は感染症対策に有効です。薬剤を使用する際には用法容量をきちんと守り、適切な消毒を行いましょう。そうすることで感染症の拡大を縮小することが可能です。