No.249 医療現場におけるナースの立ち回り方について
患者さんの健康維持や傷病回復を目的として職務に当たる医療従事者。その範疇に属するナース(看護師)には、どのような姿勢で仕事に臨むことが求められているのでしょうか。看護師に相応しい医療現場での立ち回り方について考えていきたいと思います。
看護師の役割
病の苦しみを抱えている人と向かい合い、時として人命に深く関わる状況にも直面する医療現場。その中にあって看護師は非常に重要なポジションを務める欠かすことの出来ない存在と言えるでしょう。
看護師の主な役割としては、医師が診察や治療などを行う際の補助、患者さんに対する医療的および精神面でのケアなどが挙げられます。その役割に準じて、バイタルチェック・各種検査・施術時のサポート・身体の不自由な患者さんの介助などのような業務に携わることになります。
看護師は、医療の中心的役割を担う医師以上に、業務を通じて患者さんに接する機会が多いと言えるかも知れません。患者さんの視点では、看護師が最も身近な医療従事者に相当するでしょう。健康と命を預かる医療の場面でそういった立場にある以上、患者さんから信頼されるに相応しい姿勢や立ち回り方で務めを果たすことが望まれます。
看護者の倫理綱領
では、看護師に求められる姿勢や立ち回りとはどのようなものを指すのでしょうか。それを示すものとして、看護者の倫理綱領が挙げられます。これは、国際看護師協会の公表を受けて日本看護協会が定めた、看護職の方が念頭に置くべき指針と言うべきものです。
そこに示された内容に照らし合わせれば、看護師としての理想的な姿勢や立ち居振る舞いがおのずと浮かび上がってくることでしょう。看護者の倫理綱領は前文および15の条文から構成されています。その内容を概略的に表すと、看護職の心得として3つの点が提示されていると解釈できます。
まず1〜6条内では、看護提供者が守るべき倫理的な価値および義務として、基本的人権の尊重と個人の尊厳を守ることが述べられています。これが第1点に当たると言えるでしょう。
看護の立場では、患者さんの傷病のみに限定して考えるのではなく、その患者さんの人間性全体を考えて対応することが求められます。患者さんの思いを汲むことで、その患者さん自身やその家族との信頼・協力関係を構築し、医師との仲介役・橋渡し役が行えればより良い医療体制に繋げられるでしょう。
7〜12条内では、看護師としての責任や自己研鑽について触れられています。それが第2点目に当たります。命と健康を預かる看護師の職務には責任が伴います。これに対応していくには、看護および医療に関する職務スキルを充分に身に着けていることが不可欠です。医療技術が進歩していく現代にあっては、学習やスキルアップに取り組む意識が重要と言えるでしょう。
13〜15条では、所属する組織すなわち病院などの医療機関や社会における看護者としての在り方について言及されています。その部分が第3点目です。医療従事者に相応しい人命尊重を軸とした倫理観を持ち、他スタッフと連携・協力しながら医療体制の維持と発展に寄与する姿勢が求められています。
そういった意識を看護師同士が共有することで、お互いをバックアップし合う業務環境が確立されることでしょう。
- ■まとめ
- 以上のように、看護者の倫理綱領を基本に据えて、看護師に求められる立ち回り方について考えてまいりました。患者さんに寄り添う姿勢・職務スキルの維持や向上・医療従事者同士の協力体制、これら3つの点を踏まえた姿勢で仕事に臨むことが重要と言えるでしょう。