No.252 ナースの残業〜実態と改善策について〜
働き方改革関連法により労働基準法が改正されました。それによると月45時間・年360時間を超える残業は原則として禁止されることとなりました。(大企業2019年4月から・中小2020年4月から・医師は2024年3月まで施行猶予)では、ナースの残業の実態はどうなっているのでしょうか。また改善策についても紹介していきたいと思います。
残業の実態
ナースの時間外労働(残業)に関する調査結果(看護師白書2019年度版)
- 残業なし・・・「13.2%」
- 5時間未満・・・「25.9%」
- 10時間未満・・・「18.6%」
- 20時間未満・・・「18.3%」
- 30時間未満・・・「10.1%」
- 40時間未満・・・「5.6%」
- 50時間未満・・・「4.2%」
- 50時間以上・・・「4.1%」
この調査結果を見ると約6割は月10時間未満で、ほぼ定時に帰宅出来ている事が分かります。しかし一方で、時間外労働の上限規制ギリギリの残業があるところも存在します。ナースのような交代勤務の場合、月50時間を超えると過労死ラインだと言われています。
では、このような残業が出てしまう理由はなんなのでしょうか。
ナースの残業の主な理由
時間外労働の主な理由については「看護記録」が64.3%と最も多く、次いで「患者対応・診療補助」が54.3%となっています。さらに研修や会議、勉強会なども時間外に行われる事が多いと言えるでしょう。
残業を減らすための改善策
残業を減らすための対策として、役割分担の重要性と仕組みづくりについてご紹介していきます。
- ◎PNSの活用(パートナーシップ・ナーシング・システム)
- PNSとは、2人1組のナースで複数の患者を受け持ち、お互いに補完する形で相乗効果を発揮し、責任と成果を共有するものとして開発された看護方式です。
PNSの活用例として「ペア同士で時差出勤し、スムーズな引き継ぎやスムーズな残務の受け渡しなどで残業時間を減らす事ができた」などが上げられます。
- ◎他職種との連携
- 介護士や事務職員、またフリー業務担当を配置する事で業務がスムーズになった事例もあります。
- ◎業務体制の見直し
- 出勤時間を固定し、前残業を減らす方法や朝の申し送り時間の調整、また、日勤帯に会議や研修を行う事で残業を減らせた例もあります。
- ■まとめ
- ナースの残業実態を見ると、その6割はほとんど残業なしであるにも関わらず、過労死ラインギリギリのところも一定数存在します。そんな悲劇を起こさないためにも残業を減らす工夫を怠らず、地域の医療を守るためにも残業は減らして行きたいものです。