No.289 ナースをより深く知るための語源・歴史・役割を解説
ナースを深く知るためには語源を理解する事が大切となります。語源にはナースの歴史的背景が含まれており、どのような歴史を辿って現代の役割に至っているのかがわかります。語源をはじめとして歴史と現代におけるナースの役割を解説します。
ナースの語源
ナースの語源はラテン語の「nutricia」であり、「お乳をあげる人」という意味になります。ラテン語が英語に派生してからはnursing(看護)と呼ばれるようになりました。本来は動詞で「育む」などを意味しますが、広義的に「看護」として使用されています。
接頭辞がnur・nutri・nourの単語はnursingと同じような意味を持ち、語源はラテン語の「nutricia」からきています。英語のnutrition(栄養)やnurtured(育成)などの単語が例として挙げられます。「育てる」や「養う」など、成長や育成に関する単語となります。
元々は「お乳をあげる人」という意味だったナースも、時代を経る事で「育む」や「養う」などと意味を変えてきました。ナースは歴史的な背景に沿って時代のニーズと共に、言葉の定義そのものが変わりました。ナースの歴史について解説します。
ナースの歴史
1850年代までは看護師という仕事は社会的には存在せず、病人や怪我人の看護は主に身内がやっていました。当時の西洋では看護師的役割に就いていた女性は、教育もまともに受けることができない背景がありました。日本ではまだ病院すら導入されていない時代です。
近代看護を樹立したとされているナイチンゲールは、1860年のクリミア戦争後に『看護覚え書』を書きました。この本は人類史上初めて「看護とは何か」を定義し、近代看護の礎となっています。同年に看護婦養成所を設立して看護師という職業を世に生み出しました。
日本では明治時代後期に西洋医学が取り入れられて、看護が認知されるようになります。20世紀に入ってから正式に「看護婦」という職業が定着し、終戦後はアメリカ指導による看護制度が発足しました。21世紀に入ると男性看護師が当然とされる時代となります。
ナースの役割
現代のナースには主に4つの役割があります。4つの役割は国際看護師協会(ICN)が定義している、「看護師の倫理網領」に基づいて決められています。どのような人でも平等に行う必要があり、普遍的に果たすべきものだとされています。
◎4つの役割
- ●健康の増進
- ●疾病の予防
- ●健康の回復
- ●苦痛の緩和
4つの役割を果たすために重要となるのが、患者さんの様子を常に把握して異変に気付く事になります。ナースは患者さんにとって最も身近な存在です。日頃からコミュニケーションを図る事で異変に気付き、対処を速やかに行えるようにしておく事が重要となります。
- ■まとめ
- ナースの語源を理解する事で現代では、どのような役割を果たすべきかを解説しました。元々は「お乳をあげる人」だったナースは、戦争などの歴史を元に「育む」や「養う」へと言葉が変化しました。現代では「看護」として人々の生活には欠かせない存在です。