No.42 看護師が「アセスメント」を正確かつ分かりやすく書く方法
看護師にとって「アセスメント」は基本中の基本であり、正確でなければいけません。
アセスメント不十分だと、患者さんに今何が起こっていて、何を必要としているのか? といった情報が共有されず、新たな問題につながる恐れがあります。
ここでは、情報を共有するための分かりやすいアセスメントの書き方についてご紹介します。
アセスメントは情報収集を細かく丁寧に
アセスメントを行う際、対象者の情報を細かい点まで丁寧に収集するようにしましょう。
この情報収集をしっかりと行い、さらに客観的に評価分析することが、看護における「アセスメント」です。
この際に収集した情報を基に、問題になっている事象や今後の過程を考察していくため、初期段階の情報収集は何よりも重要です。
アセスメントに用いられる情報には、バイタルサインや他の検査データ、対象者の表情や排せつの状態などの他に、対象者自身から話される現在の状態や日常的な会話などがあります。
これらを相互に関連づけ、裏付けを取りながら対象者の看護上の問題を分析することが大切です。
3ステップで情報を整理する
対象者について集めた情報は、次の3つのステップでまとめてみましょう。
- 対象者の現状を全て把握する
- 現状につながる原因の特定・理由を考察する
- 現在の状況から今後の展開を考える
この3ステップを基本にアセスメントを記述していくことで分かりやすくなります。
以下に簡単な例をご紹介します。
たとえば、得られた情報が【肺炎・喀痰多量・SPO2 94%】の3つだった場合は次のように書いてみましょう。
- 喀痰が多く、SPO2(経皮的動脈血酸素飽和度)は94%と低いため、酸素供給がうまくできず呼吸困難な状態である。
- 肺に炎症が起きたことで、肺血管の拡張に伴って浸出液が増加。このため喀痰が増加し
- 今後さらなる呼吸困難につながる恐れがある。
【よって、看護援助が必要な状態である。】(※最後にはこのような文章を付け加えます。)
これはあくまで簡単な例なので、実際にはより複雑で長文なアセスメントになるでしょう。
しかし、この3段階を基本とすることでより分かりやすいアセスメントを作ることができますよ。
もっと上手にアセスメントを書くには
分かりやすいアセスメントを書くには、まず先の3段階の方法で繰り返しアセスメントを書くことです。
また、自分の書いたアセスメントを人に読んでもらうことも大切です。
アセスメントには、書いた人の考え方の癖が出てきます。
他の看護師の意見を聞き入れ、誰が読んでも分かるようにすることが上手なアセスメント作りにつながります。
効率よく分析できる能力を持つ
収集した情報一つ一つに対し、看護学的視点を正しく持っていることも大切です。
一般的に、以下の看護理論を読んでみると良いでしょう
『14の基本的欲求』⁄ ヴァージニア・A・ヘンダーソン
『11の機能的健康パターン』⁄ マージョリー・ゴードン
『5つの人間のニードの階層構造(欲求5段階説)』⁄ アブラハム・マズロー
『13領域による分類』⁄ NANDA
これらの看護理論がアセスメントの枠組みとして広く使用されています。
この4つのツールを使うことで情報の整理が行いやすくなり、的確な判断や原因の特定、理由の考察ができるようになるでしょう。
アセスメントが苦手だという方は、現在の状態の裏付けや根拠が不十分であることが考えられます。
情報収集から看護的視点での考察を行い、3ステップを活かした文章を書けるようになることが、より分かりやすいアセスメントにつながりますよ。