No.105 他の誰かには任せられない重要な仕事、看護師の特定行為とは
看護師には医師と同じ様に看護師にしかできない特定行為があります。特定行為とは?難しそうな言葉ですが、他の人がしてはいけない治療のことです。具体的にどんな特定行為があるのか、ポイントと共にお伝えします。
特定行為が必要な理由とは?
看護師に特定行為が必要な理由はいくつかあります。患者さんにいつも医師がついているわけではありません。また、在宅医療が今後増えることが予測され医師不足となる事も予測されます。ICUや救急病棟などでも、急を要する容体の変化がある場合があります。急を要する場合に看護師だけで出来る範囲を広げるために特定行為が設けられたようです。特定行為は38行為あり、それぞれ次のような能力が求められます。
- 判断力
- 理解力
- 思考力
- 専門的な知識と技術
平成27年10月から特定行為研修が義務付けられているようです。
特定行為で何がどう変わるのか?
例えば、Aさんは脱水症状を繰り返していたとします。特定行為研修導入前はこうでした。看護師はAさんの脱水症状が疑われた場合、まず医師に報告し、医師からの指示を待っていました。たとえ点滴が今すぐ必要だと分かっている看護師さんであったとしても、医師からの指示がなければ点滴が出来なかったのです。
しかし、特定行為研修導入後は、看護師の判断で点滴を行い、最終的に医師に報告するだけでよくなりました。
特定行為研修導入についての問題点
特定研修受講制度の対象看護師は全国で10万人と期待されています。しかし、まだまだ歴史が浅いため病院によっては特定研修受講制度の存在さえ知らないという病院もあるようです。また、特定行為研修について、研修期間が1~2年と長いこともあり、日々の業務をこなしながら研修を受けさせる余裕のない病院もあるようです。これでは看護師のやる気を失わせてしまうことにつながりかねません。全国で特定行為研修養成機関も少なく、すべての病院で受講可能なわけではないようです。
- 大学院:7大学
- 大学や短大の研修期間:4校
- 病院の研修センター:14施設
養成施設に通える範囲でなければ受講できない問題が生じてきます。また、研修期間中に仕事を続けるか、休職する場合はその間の生活資金や学費をどうするかの問題もあります。看護師個人に負担させるのではなく、補助金などの導入が求められます。
これから期待される看護師の特定行為
特定行為研修を終了した看護師は、特定看護師と呼ばれ、医師が不在の時でも医療行為を行う特別な存在になります。お給料は今のところ、加算手当はないようです。しかし、2025年には団塊の世代が75歳以上になるので、需要による給与UP、国の政策による給与UPも期待される研修になりそうです。