No.222 ナースの感染対策には手洗いだけでなく顔洗いも
ナースとして感染症に罹患することは最も避けたいことで、その対策には気を付けていることでしょう。日頃手洗いや消毒には気を配っていると思われますが、洗顔の重要性はどうでしょうか。こちらでは、ナースの感染対策における洗顔に注目して見ていきましょう。
感染対策の基礎
感染症は、病原体(感染源)・感染経路・宿主の3つの要因が揃うことで感染します。感染成立の3要因への対策と病原体を持ち込まない、持ち出さない、拡げないが基本となることから、感染経路の遮断は重要な対策となります。
感染経路は、ウイルスが体内に入るまでの「経路」のことです。感染を防ぐためには、感染経路が大切なカギで”飛沫”、”接触”が感染経路であると分かっています。
感染症が拡がる経路に、くしゃみや咳で飛び散る「つば」が重要視されています。飛び散った唾が直接体内に入る飛沫感染と周辺に飛散したウイルスに触れ、その手で目や鼻や口を触ることで体内に入る接触感染があります。
飛沫感染の防御(遮断)はマスクが有効とされています。マスクを利用することによる接触感染の遮断は、目や鼻や口にウイルスを運ぶ前に、手洗い・手指消毒が基本とされていますが、洗顔やシャワーの重要性も認識されています。
意外と汚れている顔
ウイルス感染予防の基本である手洗い・うがいですが、意外と知られていないのが顔面に付着したウイルスの存在です。欧米の感染予防マニュアルには、「顔を触るな」と明記されているようです。
人は無意識のうちに顔を手で触る習慣が多いもので、意識して手を洗っていても、汚れた顔を触ってしまっては感染予防効果が期待できません。そのようなことから、帰宅をした時は手を洗うだけではなく洗顔も取り入れましょう。
洗顔に適しているのは石鹸
そもそもほとんどのウイルスは、「RNA(リボ核酸)・タンパク質・脂質」という3つの構成要素からなる、自己組織化ナノ粒子だと言われています。
ここで重要になるのは、ウイルスの中核であるRNA(リボ核酸)を保護しているのが、脂質の膜であるという点です。
ウイルスの粒子は一般的に、エンベロープ(単純ヘルペスウイルスやインフルエンザウイルス、ヒト免疫不全ウイルスなど一部のウイルス粒子にみられる膜状の構造のこと)という膜で保護されており、このエンベロープの多くは脂質二重層で出来ているとされています。
脂質二重層の組織は、面ファスナーのようにしっかりと噛み合っているため、物理的に分解することは難しいとされますが化学的な結合力は弱いようです。
では、なぜ石鹸が洗顔に適しているのかというと、石鹸には脂質を溶かす作用があるためです。ウイルスは石鹸にさらされると、簡単にバラバラになってしまいます。また、石鹸が顔の表面から汚れを除去する効果も加わるので、石鹸はウイルス対策に適していると言えるのです。
ウイルスだけじゃない ! ナチュラルメイクぐらいなら石鹸でも落とせる
そもそも石鹸とは、天然の油脂にアルカリ性の苛性ソーダを加えて反応させ、枠に入れて固めたものです。油脂がアルカリ性に反応する時に自然に界面活性剤が出来て、それが泡立ちや汚れ落ちのものとなります。
また、石鹸は基本的にアルカリ性なので、洗浄力と活性剤のバランスが発揮され、汚れ落ちは良いのに、肌への負担はマイルドだと言われています。
落ちにくい合成成分が使用されたコスメではなく、ナチュラルコスメを選ぶことで、フルメイクをしていてもクレンジングを使わずに、石鹸洗顔でメイクを落とすことが可能だと言われています。
- ■まとめ
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ナースはその仕事柄から、一般の方よりウイルスにさらされる危険性があります。手洗い・洗顔を常に心掛けて、感染対策を行いましょう。石鹸を使用することで、ウイルス除去に繋がるだけでなく、石鹸による洗顔は肌荒れの対策にもなりますので、取り入れたいものです。