No.264 ナースが知っておくべき略語「NRS」の意味とは
皆さんは、幅広い医療機関でよく使われている略語「NRS」の意味をご存じでしょうか。ナースを目指している方なら、是非覚えておくべき看護の知識です。この記事では、「NRS」の意味や使い方について説明していきます。
NRSとは何か
NRS(Numerical Rating Scale)とは、患者さんが何らかの原因で感じている痛みに数字を用いて判断を行う計りのことです。
この言葉を分けて説明すると、「Numerical」が「数の」または「数字で表現した」などを意味し、「Rating」は「評価」または「見積もり」と訳すことができ、患者さんの痛苦を数字で評するスケールのことです。
NRSのメリット
痛みを表す表現は人それぞれなので、ナースや医師などの医療従事者が受診だけで客観的に認識するのは困難です。そこで活躍するのが、数字で痛苦を具体的に表わせるのがNRSとなります。
この方法を用いて診断を行うことにより、患者さんの痛苦に対して医療従事者が共通認識を持つことが可能になるのです。
NRSが使用されている場所
NRSは、特に医療の知識を持っていない方でも使用できます。そのため、病院以外の救護の時などでも使用されています。院内では、受付・一般および救急外来・一般病棟・集中治療室など幅広い医療機関で使用されています。
使用方法
0(痛みなし)~10(最悪な痛み)の11段階で、次のような項目を受診者に尋ねて、感じている痛みをレベル毎に分けます。今までに感じた最も強い苦痛を10とした場合の今の痛みについて、そして初診や治療を行う前の痛みを10とした場合の治療中の痛みはどれ程なのかを質問します。定期的に受診者の今の状態を把握しておくことが大切です。
- ◎11段階に分けられる痛み
- 0は全く痛みを感じない、3以下は軽い痛み、6以下は中等度の痛み、10以下は強い痛みと判断します。11段階の目安を覚えておくと、すぐに判断できます。
例えて言うなら、前のカルテに「NRS2」と記載されていて、今回の問診で痛苦について聞いたところ「かなり痛いです、5段階くらいです」と答えた場合、「NRS5(前回よりも痛みが増している)」と記録します。患者の表情も観察すると良いでしょう。
注意点
NRSは、患者さんから苦しみの度合いを聞き取って数字で判断を下すため、自分自身で説明出来ない子や認知症の患者には使用するのが困難だと言えます。それから、日本人が数字を選ぶ時の傾向として、5あるいは7を選びがちになるのでナースは注意点として覚えておくと、評価する際の参考になることでしょう。
- ◎幼児に適したスケールとは
- 前述したように、NRSは幼児に用いることが困難です。その代わりに使用出来るとされているのが、「FPS」という方法になります。これは、6つの表情の中から自分の痛苦に近いものを選んでもらい判断するものです。
- ■まとめ
- 患者さんの主観的な感覚の痛みを医療関係者が把握する際に活用されているのが、「NRS」というやり方です。医療現場では様々な略語が使われていますが、痛みは治療を行う際の重要な情報となるので、知識として覚えておきましょう。