No.270 ナースが取り組む!院内感染対策
医療施設には、様々な人が出入りをします。医療従事者をはじめ、外来の方やお見舞いに来られる方、病院内に入院されている患者さん、医療関係の業者、病院食関連の方(ケイタリング業者を含め)など、多くの方々が病院内を行き来します。人の往来があるということは感染のリスクも必然的に高くなります。そこで今回、ナースが取り組んでいる院内感染対策についてご紹介しましょう。
対策の基本
アルコールベースの手指消毒剤を使用します。流水で手を濡らした後、石鹸で手を洗いペーパータオルで清拭します。環境清掃は消毒入りの使い捨てのもので、人がよく接触する所を拭きます。掃除で用いる用品は、最近では消毒入り使い捨て商品が主流です。
消毒剤の安全管理には単包のアルコール綿を使い、消毒剤付き綿棒を用います。また使う直前に消毒薬は作り、24時間以内で使い切ることが原則です。
ガウンなどの防護具は、防水性のガウンあるいはエプロンを患者ごとに替えて使用後は捨てます。また手袋も同様に各患者に対して交換して使用し、その後廃棄します。特に(傷のある皮膚・粘膜・体液・排泄物)などに触れる時には、装備して処置後は直ちに外して、専用のゴミ箱に捨てます。
マスクをしますが、これは自身が病原体を吸引しないことや周辺に排出し拡げないことにあります。
感染発症の6要因
- ①病原体
- ②感染源
- ③排出門戸・病原体を排出する体の部位です。
- ④感染経路・(接触感染・飛沫感染・空気感染)を通して人に移る道筋です。
- ⑤侵入門戸・病原体が侵入する部位(食中毒であれば口)です。
- ⑥宿主
リンクナースシステム?
イギリス発祥のシステムで当初は感染管理分野だけでしたが、現在では栄養サポート、緩和ケア、褥瘡対策、退院調整、摂取・嚥下などにも拡大されています。
ここでのナースの働きは、感染制御チームや他の専門チームなどと病棟ナースを繋ぐ役割を果たします。その活動については、各委員会への参加、病棟スタッフの教育、病棟内サーベランスや評価や課題点などを抽出します。これらの活動により病棟スタッフの看護の質を向上させます。
更に委員会や専門グループと病棟での問題点を共有することで、医療施設全体のレベルアップする役割もあります。
感染対策は発症の要因が感染状況と共に変化していきますので、常に起こる問題の分析や解釈、また解決が必要となります。特に細菌やウイルスは、人から人へ移る中で変異を起こします。時には、それまで対策として講じていたものが通用しなくなることもあります。新しい対策のために、このシステムは必要不可欠でしょう。
- ■まとめ
- ナースの感染対策として、基礎的な事柄や感染の発症原因、リンクナースシステムなどについて焦点を当て掲載いたしました。現在コロナと戦っておられるナースをはじめ、医療従事者の方に敬意を持って働きに感謝します。