No.312 要注意!ナースが使う専門用語で患者が不安に陥る?
医療現場では、専門的な用語や略語が多く使われます。しかし、その中で医師やナース同士の何気ない会話を聞いた患者さんが、その意味を誤解して不安に陥る事があります。この記事では、聞き間違いや誤解されやすい用語や略語の変換例紹介と、メリット・デメリットについて解説します。
メリット
専門用語や略語は、作業効率を向上させるメリットがあります。例えば、病名や術式などの正式名称は、漢字が多く文字数も長いものがあります。会話や書類記入時に、いちいち正式名称を使うと時間がかかるものです。そこで使用するのが専門用語や略語で、時間を大幅に短縮する事ができます。
もうひとつのメリットは、知られたくない情報を隠せる事です。例えば、患者が亡くなる事を「ステる」と言います。ナースステーション内での会話でも、どこで誰が聞いているか分かりません。他の患者や、見舞いに来た家族に聞こえてしまう事も考えられます。
療養中で不安を抱えている患者の中には、医師やナース同士の会話に敏感に反応する方が居ます。そのため、特にネガティブな情報には隠語を使う事が必要で、それにより情報を伏せる事が可能になります。
デメリット(誤解を招く用語)
一般的に使われている単語に似た用語や略語があり、使用する事で場合によっては誤解を招くデメリットがあります。患者の中には、内容が理解できず不安になる事があるからです。そこで、難しい用語や誤解を招く用語から、一般的に理解できる言葉への変換例をいくつか紹介します。
- 褥瘡(じょくそう)=床ずれ
- 誤嚥(ごえん)=飲食物が誤って気管に入った状態
- 清拭(せいしき)=体を拭く
- カテーテル=血管や消化管などに挿入する柔らかくて細い管
- バルーン=尿を排出するための膀胱留置カテーテル
- ヘモ=痔(ヘモグロビンと誤解されやすい)
- マンマ=乳房(ママの類義語と誤解されやすい)
- コアグラ=凝固した血の塊(フォアグラと聞こえ、肝臓疾患かと不安に陥る)
- オリエンテーション=意識障害の指標となる見当識
- セカンドオピニオン=別の病院や他の医師から診断を受ける
ナースのスキルとして専門性が高められる
医療者同士で話をする際、用語や略語を使う事で、より専門的な話ができると言えるでしょう。逆に、先輩たちの会話や会議で知らない内容が出てきた場合は、すぐに調べるように習慣付けると良いです。
ナースは患者の今の状態を把握しなければならないので、カルテに書かれた内容を知っておく必要があります。ポケットに小さな医療用語・略語辞典を持ち歩き、その場で調べられるようにしましょう。
また、病院や病棟独自の略語が使われる事もあります。分からないものは積極的に質問して早期に理解しなければなりません。しかし、もしも先輩たちに聞きづらい環境が続くようであれば、学ぶ環境を変えるための転職もおすすめします。
- ■まとめ
- 患者に不安を与えないように、聞き違いや誤解されやすい言葉は使わないように配慮が必要です。一方で、確かな医療を提供するスキルとして、専門用語や略語についての知識は必要不可欠になります。ナースとして成長するためにも、学ぶ環境が整った職場を選びましょう。