No.89 キャリアアップに! 循環器専門ナースってどんな資格?
専門分野を持つ医師が増える中で、その医師と患者さんをつなぐ役割を担う看護師、特に専門的なスキルを持っている人材が不足しているといわれています。
平成18年度の厚生労働省の調査によると、循環器科は病院総数約8千施設のほぼ半数に設置され、心臓血管外科は前年度から増加しています。
専門的な看護師不足に加えて、循環器はニーズが高い分野です。「循環器専門ナース」は、循環器科や心臓外科、ICUなどに勤務する看護師のキャリアアップに役立ちます。今回は、この資格の概要や取得方法などについてお伝えします。
循環器専門ナースとは
「循環器専門ナース」とは、公益社団法人 臨床心臓病学教育研究会が認定する資格です。循環器についての看護技術と専門知識を活かして、質の高い看護ができることを証明します。資格取得には指定された研修コースを修了し、認定試験を受ける必要があります。研修コースの概要は次のとおりです。
研修コース概要・受講期間:約2ヶ月
・参加資格:准看護師と正看護師を合わせて5年以上の実務経験(ただし、正看護師として1年以上)
・選考方法:抽選
・研修形式:集合形式(計4回の土日研修)
・会場:ジェックス研修センター(大阪市淀川区)
・費用:15万5千円(研修費や教材費など)
・認定試験:あり(郵送で解答を提出)
・有効期間:2年間(その後2年ごとに更新。更新試験料2千円、会費8千円)
資格取得上の注意
希望すれば誰もが研修に参加できるのではなく、第三者を交えた抽選によって参加者が決定されます。土日の研修すべてに出席することが修了条件のひとつになっていますので、職場とよく相談してから申し込みましょう。
研修会場は大阪のみです。ほかの場所で開催される予定はありません。費用には、土曜日の夕食代が含まれます。抽選で受講が決まった場合、可能な方は所属病院長もしくは看護師長の推薦状を提出します。認定試験問題の解答には、テキストを参照しても職場で相談しても構いません。期限までに回答を提出すれば資格が取れるのが、特徴のひとつといえるでしょう。
資格取得のメリットとデメリット
循環器専門ナースの資格を取得するメリットとデメリットには、次のようなものがあります。
- メリット
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・専門性を生かした看護ができるようになる
・ほかのナースから頼りにされる
・医師や患者さんからの信頼が厚くなる
・異動や転職の際に有利になる
・資格手当や能力給など給与アップにつながる
- デメリット
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・資格取得のために職場に負担をかける
・資格を取得しても、必ず給与がアップするとは限らない
・資格取得後、すぐに異動や転職で資格を生かせるとは限らない
・専門性が高まったことを患者さんに知らせる手段が少ない
看護に限らずどの分野でも、いつまでも新人ではいられません。実務経験を積むにつれ、自分の専門性を打ち出していくほうがキャリアアップにつながりやすいといえるでしょう。どの分野を自分のフィールドにするかを最終的に決めるのは、自分です。看護師は一般的に勤務が不規則ですから、資格取得のための段取りや時間のやりくりは大変でしょう。さまざまな公的資格がある中で、循環器専門ナースはニーズの高い専門分野のひとつです。将来の自分をできるだけ具体的に思い描いてから、資格取得のための検討を始めることをお勧めします。