No.144 看護師の深刻な職業病とは「腰痛」にあります
職場における腰痛は、多くの業種および作業において最も発生の多い職場が、社会福祉施設や医療保健行などの保健衛生業となっています。看護師の仕事の場合「患者さんの生命に関わる仕事」という意識があり、「腰痛は職業病」だと割り切って無理をしてしまう傾向がありますので、腰痛の実態は深刻だといえます。
腰痛の実態とは?
日本看護協会が実施した『看護職の交代制勤務ガイドライン』普及に関する調査では
- 腰痛があっても労災には申請しないと答えた方が約8割
- 腰痛は労災で申請できると認識がないと答えた方が約6割
- 看護職の5~7割が腰痛を抱えている
- 腰痛に取り組んでいない病院が約6割
という調査の結果がでています。腰痛予防対策では「休息と睡眠の確保」と個人任せになっており、補助用具の活用や予防体操を行っている施設は少ないとわかっています。
職場で起きる腰痛の発生原因
◎動作要因:過度な長時間労働
◎環境要因:仕事への満足感が低く働きがいが得にくい
◎個人的要因:職場での対人トラブル
◎心理・社会的要因:職務上の心理的負担や責任
これらは職場のメンタルヘルスと同じ問題ですが、ストレスの高い職場は腰痛の発症率も高いといわれています。
原因を特定できない「非特異的腰痛」とわかっています。
非特異的腰痛は、体を動かさないで安静でいると活動性が低下し、スムーズな動きが失われ、背筋の硬直化が起こりやすく、腰痛の再発も多いといわれています。通常の生活でも腰への負担を避けることが大切です。簡単エクササイズで辛い腰痛を予防していきましょう。
筋肉の緊張をほぐすポイントは「深呼吸」
- ◎すでに腰の不調を抱えている方
- 無理をしない程度からエクササイズを始めていきましょう。骨盤・腰付近の筋肉を刺激し、過度な緊張感をほぐしてみましょう。
- ◎腰痛が慢性化している方
- 腰部以外の部分へも筋緊張がみられ、影響を及ぼしているのは呼吸が浅くなったりしている可能性があります。全身的に「深呼吸」をエクササイズの前後や就寝前や仕事の合間などに5~10回ほど繰り返すこともおすすめします。
日常でのエクササイズ
多様なストレスから背中の筋肉が疲労しがちで、重心部がずれて腰部に負担も増し、腰痛へ繋がる心配があります。腰の負担を和らげるよう、楽な姿勢を保ちましょう。
【骨盤を意識するエクササイズ】 -
①骨盤を意識する目安として感覚をつかむためにまずは座った姿勢で行いましょう
ウエストラインから骨盤へ指先が下を向くように手をそえます。
②指先が前方へ向くように腹筋を使いみぞおちとおへそが近づくように5秒間キープします。
③おへそを正面へ向け背筋をのばす意識で骨盤を立てて5秒間キープします。
②~③を3~5回繰り返しましょう。
【腰の付け根を伸ばすエクササイズ】 -
①両足を大きく前後に開きます。
②後方の膝を床に近づけるように下げ、骨盤前面~脚の付け根を約20秒伸ばします。
左右行いましょう。
【骨盤を意識するエクササイズ】 -
①四つんばいでおへそを床に近づける
②背が天井に近づくようイメージし、背骨でアーチをつくる意識で動かしましょう。
①と②を3~5回繰り返しましょう。
軽くできるエクササイズを紹介しましたが、休憩時間にでも行えそうなのを選んで無理をせず、生活の中に取り入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
腰痛の有無は看護職の離職意向の優位に影響しているため、腰痛予防は人材を確保する意味でも重要な課題であるといえます。個人任せの医療機関ではなく無理なく安心して看護職に専念できる職場環境であることが重要なのかもしれません。
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