No.243 ナースがもしもに備えて加入するべき保険
ナースの皆さんは、日々の仕事に対して責任と自信を持って活躍していることでしょう。しかし、世の中には事故の責任を押し付ける人も存在します。特に悪意のある方が患者の身内にいる場合には、お金を要求する人も存在します。完璧な仕事にも想定外の事故は起こり得ますので保険が必要なのです。
看護職賠償責任保険とは
ちょっとしたアクシデントは、こちら側が気を付けていても起こるものです。例えば、車椅子の患者をナースが押して移動している場合に患者が動いた事で転倒したり、出会い頭に他の患者にぶつかってしまったりと、ナースにミスがなくても、責任が問われるケースがあります。
手術に立ち会った場合においては、生命の危機に対する医療行為が行われた場合にも、最悪のケースに至っても医者だけでなくナース自体にも責任が追及される事も珍しくはなくなってきました。
看護職賠償責任保険の対象になるのは、看護職の資格を保有する人達で、看護業務における他人に対する責任が発生した場合の保証をしてくれる保険となっています。法的責任を問われる可能性だけでなく、個人に対する責任に適用される保険です。
保険の適用となる場合
事故やミスの場合でも適用になる事例を紹介しましょう。
- 【1.対人賠償について】
- 被害を受けた人に対する治療費や入院費、休業補償などが補償の対象です。看護や介護の手助けをしていた場合に怪我や事故に対するものとなっています。
- 【2.対物賠償について】
- 患者さん個人の持ち物に対しての個人的な所有物に被害が及んだ場合の補償になります。
- 【3.人格権侵害について】
- 患者さんの個人情報などの機密事項に対して、何気ない日常会話の場合でうっかり口をすべらせてしまう場合などがあります。また患者さんの精神的な苦痛に及ぶ場合にも適応の可能性があります。
適用外となるケース
ありえない事ではありますが、事故や怪我に対して故意的な事が実証された場合などに保険の対象外となってしまいます。
- 故意による事故やミスの場合
- 医療行為の目的が美容のみである場合の賠償責任
- 保険加入者の同居親族が被害者の場合
- 患者さん以外の人の所有物
- 国外における医療行為に対して
- 保健師助産師看護師法に違反する医療行為
※患者さんが持ち込んだ所有物であっても、所有者が患者さん以外であった場合の責任は対象外になります。適用の対象を本人と患者さんに限定している場合を確認しておく必要があります。
事故が起きた場合の対応
事故など起きたら慌てずに落ち着いて、すぐに保険会社と相談すべきです。
- 状況報告を保険の担当者に連絡して相談します。
- 被害者に対して、賠償責任を求められたら、自己判断はせずに保険会社側の顧問弁護士に支援してもらいます。
- 訴訟問題に発展した場合には、弁護士や看護の知識を持つ専門家が必要になります。保険会社も独自に事故審査委員会を実施します。
- 損害や賠償請求の内容を検証します。
- 賠償金の支払いが保険会社によって行われます。
- ■まとめ
- 保険会社の対応には、看護職に精通した専門の人員を配置しているので、看護業務中に問題に発展するような心配事が起きた場合には、すぐにでも相談員と話し合う事です。無事に済めばそれに越した事はありませんが、保険に加入する事で自分自身に安心感をもたらしてくれますので検討する必要性があります。