No.231 ナースのコロナ対応で注意すべき点
新型コロナウイルス感染拡大が一時的にピークを過ぎている状況であるとして、政府が発表していますが、秋・冬に訪れるであろう流行期に対する心構えも持っておく必要があります。完全な感染対策がない現状では、今できる対策を徹底する事につきます。ナースのコロナ対応で注意すべき点について紹介しましょう。
コロナ対策で注意すべき3つの感染症
新型コロナを含むウイルスがもたらす感染症には、病気そのものだけでなく社会的な影響も含めた感染対策に注意すべきです。
- 1.生物学的な感染症
- 今回のような新型コロナによる世界的な大流行は、パンデミックとも呼ばれるような状況になり、誰もが感染症のリスクを背負って向き合わなければなりません。特に医療従事者である医者や看護師などは、専門的に扱っていない分野の病院であっても、コロナ対応に応じなければならないのです。
- 2.心理的な感染症
- 第2の感染症とも言われているのが、心理的な要因として不安や恐れが人から人へと伝播する心に影響を与える事で、心因性の病気になってしまう恐れがあります。特に看護師の皆さんは、直接的にコロナ患者の対応に追われており、自分自身がコロナに感染してしまう事と家族に感染させてしまう心配などが、不安や恐怖を持つ事になってしまうので、精神的なケアを含む相談窓口などのサポートが必要です。
- 3.社会的な感染症
- 第3の感染症としては、不安や恐れに対する嫌悪感や偏見から差別やいじめへと発展する社会悪そのものになる事です。不安や恐れが地域に広まる事によって、感染者と医療従事者に対する偏見や差別が実際に起こっています。これは、感染症対策や医療従事者に対する誤解や偏見からくる社会悪と言って良いでしょう。
他にも医者や看護師だけでなくその家族に対する差別やいじめまで起こる事もあります。家族の間にもギャップがないように努めたいものです。医療の大事さや貢献度を正しく伝える事ができなければ、結果的に医療崩壊へと繋がる危険性があるためです。
医療従事者の責任感や重要性と社会に必要な貢献度を正しく理解してもらうように、政府やマスコミの力を借りて、このような社会悪は、自分達の医療を阻害する事になるので根気良く説得する必要があります。
ナースに役立つコロナ対応
看護師達はコロナを含めて感染対策に努める必要があります。実際の現場における対応策を見てみましょう。
- 1.救急看護での初心者の看護師
日本救急看護学会は、緊急な場合の医療現場で救急看護の経験がない看護師を対象にした「救急初療のフィジカルアセスメントの基本をまとめたミニガイド」を公開しています。
- 看護実践として急性症状に対する情報や問題点の確認(アセスメント)
- 第1印象の観察項目
- 第1次評価によるアプローチ
- 第2次評価によるアセスメント
- 呼吸や環境、脳神経や腹部における「身体的な情報および問題点」
救急初療の場合は、フィジカルアセスメントの基本を作成したステップなどチャートにより、観察項目や評価などを、図表などによって分かりやすく解説しています。
- 2.受け入れ体制を行う看護師
コロナに感染した患者や疑いのある患者の受け入れの準備や確認をしましょう。
- 患者の受け入れの確認
- 防護具の準備
- 気道や呼吸系の管理を徹底
- 防護具などの着脱方法や、気管挿管や抜管の介助方法などを事前シミュレーションで慣れる事
- 3.重症管理ガイドによるICUの看護師
日本クリティカルケア看護学会はICUの経験がない場合の看護師向けの対応を求めたガイドを発表しています。ICUに応援に行く場合の予習や手順が示されています。
- 生命危機状態にある患者の対応にあたる、クリティカルケア領域のアラーム設定による安全の確保
- 心電図アラームへの対応
- 血圧アラームへの対応
- 酸素飽和度に対するアラームの対応
- 気管挿管患者の安全管理
- 気管挿管や気管切開における閉鎖式吸引
- 4.新型コロナ重症者や疑い患者の対応
新型コロナウイルス感染症の患者や、その疑いがある患者さんに対してすべき内容です。
- COVID-19に対するリスクや要因に対する理解
- 感染防御の徹底
- 呼吸の援助
- 面会に関する対応
- 合併症予防に関する認知
- 終末期のケア対応
- 看護師や医療スタッフのケア
- ■まとめ
- 看護師が新型コロナに対応する為に、できる予防対策はシミュレーション等を交えて徹底的な管理を必要とします。コロナ対応も重要な事ですが、そこで従事する看護師や医療スタッフの心理的なサポートも大事ですので、自分自身のケアにも注意しましょう。