No.302 意外と知らないナースの語源・歴史・由来
「ナース」は一般的には看護師を意味しますが、その語源と由来を知っている方は多くはいません。語源と由来を辿ると「看護」以外の側面を持つことが見えてきます。今回は「ナース」の語源をはじめ、ナースの由来と歴史について解説します。
ナースの語源
ナースの由来を知るためにはナースの語源を知る必要があります。ナースの語源は古代ローマ時代まで遡り、当時公用語として使用されていたラテン語が語源とされています。ラテン語の「nutricia」(ニュートキリア)が語源とされており、「乳をあげる人」を意味します。
ラテン語からフランス語へと言語が移り、そこからさらに英語へと派生して現在に至ります。英語で使用されている同系列の言葉として、「nurture(育む)」や「nutrition(栄養)」などがあります。語源で意味していた「乳をあげる人」とは意味が異なりますが、これには歴史的な背景が大きく関わってきます。
ナースの由来と歴史
ナースの意味が「病人を看護する」に変わったのが16世紀後半だとされています。これは修道院のシスターが、病人に対して看護を始めたのがきっかけとされています。この時期からナースは「看護をする」という意味に変わっていったとされており、現代ナースの由来にもなります。
言葉の意味が大きく変化した16世紀後半ですが、そこから約200年後にナースという言葉・職業を大きく飛躍させる人物が登場します。「白衣の天使」の異名を持つフローレンス・ナイチンゲールです。彼女の存在は「看護」に置いて非常に重要な役割を持ちますので、歴史的背景をなぞりながら解説します。
フローレンス・ナイチンゲールの存在
1820年5月12日にフローレンス・ナイチンゲールはこの世に生を受けます。裕福な家庭に育ち、当時では珍しい多くの教養を得ますが、無教養な女性の仕事として認識されている看護師になりたいと思うようになります。家族の猛反対を押し切ってドイツで看護について学び、母国のイギリスに戻ってからは看護婦の必要性を訴えるようになります。
そして、時代は19世紀後半へ進むとクリミア戦争が勃発します。この戦争ではたくさんの死傷者が出ましたが、戦争による負傷よりも感染症で命を落とす方が多かったとされています。ナイチンゲールはこの現状を打破するために夜も休まず手当てを行い、死亡率を数十%減らして最終的には2%まで減らすことができました。
このことがロンドンニュースの記者によりイギリス中で広まり、彼女の存在が世間で注目されるようになりました。また、戦争から帰ってくるとナイチンゲールは世界初となる看護学校を樹立し、現代看護の礎となる看護体制を確立しました。ナースコールやナースステーションを考案したのもナイチンゲールです。
- ■まとめ
- ナースは「乳をあげる人」を語源に持ち、歴史的な背景により言葉の意味も大きく変化してきました。修道院のシスターが病人を看るようになったことで「看護」の意味を持ち始め、ナイチンゲールによって職業や学問としての「ナース」が誕生しました。ナースの由来を知ることでナースの役割を再認識することへと繋がります。